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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第50章 《巻の参―臥待月の夜―》
「迷うことはない。俺は、どうせもう長くはないのだ。ひと想いに殺せば良い」
―そなたがどのような意図で舞い戻ってきたのだとしても、それがひとときの夢だしても、俺はその夢に縋りたかった。そのお陰で、最後に途方もない夢が見られたんだ。
つい今し方の泰雅の科白が蘇る。
「殿、それは、どういう意味にございますか? 長くないとは?」
―そのお陰で、最後に途方もない夢が見られたんだ。
しまいの言葉が引っかかる。