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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第50章 《巻の参―臥待月の夜―》
「どうして、お身体をもっと大切になさらなかったのでございますか」
 泉水の口から洩れ出た言葉は、泉水当人でさえ意外なものだった。
 迂闊であったと思う。泰雅の顔色が以前より随分と悪く、どこか黄色がかっていること、少し痩せたのではないかと思ったこと。思い返せば、その兆候は幾つもあった。体調を崩しているとは聞いていたけれど、毎夜、膚を合わせていながら、よもや、泰雅の病がそこまで悪化しているとは想像だにしなかったのだ。
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