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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第51章 《巻の四―花の別れ―》
腰元美倻の報告によれば、泰雅の病状は芳しくないという。大量の喀血が弱っていた身体を更に衰弱させ、薄い粥さえ喉を通らない状態であった。床の上に起き上がることもできず、ただ一日中、昏々と眠ったままの状態が続いている。意識がないというわけではないのだが、殆ど眠りっ放しで、たまに眼を覚ましても朦朧としていることが多いらしい。
美倻から泰雅が倒れたと聞かされたその日の夕刻、泉水は一人で泰雅の居室を訪れた。