この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第51章 《巻の四―花の別れ―》
表にも一応、泰雅の居室兼書斎、更に続きの間として寝室がある。もっとも、奥向きで夜を過ごすことの多い泰雅は、滅多に表の寝所で眠ることはない。だが、今回は表で倒れたこともあり、重臣たちは泰雅の身柄を表の寝所に運び、泰雅はそこで療養していた。
原則として女人は表に脚を踏み入れることはできないが、旗本の屋敷である榊原家では江戸城の表御殿と大奥ほどの厳然とした区別はない。ましてや、良人の突然の病臥を妻たる泉水が見舞うのは当然のことであり、それを止める者はいなかった。
原則として女人は表に脚を踏み入れることはできないが、旗本の屋敷である榊原家では江戸城の表御殿と大奥ほどの厳然とした区別はない。ましてや、良人の突然の病臥を妻たる泉水が見舞うのは当然のことであり、それを止める者はいなかった。