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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第51章 《巻の四―花の別れ―》
 泉水は眠っている泰雅の枕辺にそっと座った。大粒の汗が額に滲んでいる。悪夢でも見ているのか、苦悶に満ちた表情でしきりにうなされていた。
 泉水はわずかに眉をひそめ、苦しげに喘ぐ泰雅を見つめた。枕許に置いてある盥の水に傍らの手ぬぐいを浸し、固く絞る。その手ぬぐいで泰雅の額の汗を丁寧にぬぐってやる。
 と、眠っていたかに見えた泰雅の手がそろりと動き、泉水の手を捉えた。
 泉水は愕いて眼を見開いた。
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