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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第51章 《巻の四―花の別れ―》
 泉水は小さく首を振る。
 泰雅は泉水の手を放すと、視線をゆるりと動かした。
「済まぬが、障子を開けてくれ」
 長月も半ばを過ぎたとはいえ、日中はまだ残暑が厳しいこの季節である。泉水は立ち上がると、閉(た)て切っていた障子を開けた。
「やはり、お暑うございますか」
 その問いに、泰雅は小さく笑う。
「いや、急に庭が見とうなった」
「さようにございますか」
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