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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第51章 《巻の四―花の別れ―》
かつての仏道の師であった光照を初め、寺男伊左久もとうに亡くなった。一人娘が嫁いで落ち着いたのを見届けた後、泉水は懐かしいこの庵へと帰ってきたのである。その時、既に光照も伊左久もこの世の人ではなく、庵は見る影もないほど無惨に荒れ果てていた。それを泉水が一人で修理して、何とか人が住めるようにまでしたのだ。
何より、この寺の片隅には乳母の時橋も眠っている。ここより他に余生を過ごすにふさわしい場所があるとは思えなかった。
何より、この寺の片隅には乳母の時橋も眠っている。ここより他に余生を過ごすにふさわしい場所があるとは思えなかった。