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第55章 第一話　【春雷】

　泉水は息を呑んだ。今、眼前にいる男は、よくよく見れば、まだ男というよりは少年の面影を濃く残している。それでも、十三歳になった祐一郎は、泉水の記憶に残る彼よりも数倍、大人になっていた。痩せ気味でひょろりと長かった手脚は筋肉がつき、何より身の丈が眼を瞠るほどに伸びている。頬から顎の線も丸みを帯びた子どものそれではなく、既にすっきりとした鋭角的なものになっていた。