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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第55章 第一話 【春雷】
庭の中にしつらえられた四阿であった。庭のそぞろ歩きの途中などに座って休むための簡単な休憩所である。家のような作りにはなっていないが、真正面を除けば、すべて壁で仕切られていて、屋根もついている。座る椅子もあるゆえ、一時の雨宿りくらいならできるだろう。
祐次郎に手を引かれて走った。全速力で駆けて四阿に飛び込んだときには、雨脚は先刻以上に烈しさを増していた。まるで滝の奥にある洞窟の中に入って、向こうに滝を眺めているようである。
祐次郎に手を引かれて走った。全速力で駆けて四阿に飛び込んだときには、雨脚は先刻以上に烈しさを増していた。まるで滝の奥にある洞窟の中に入って、向こうに滝を眺めているようである。