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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第57章 《壱》
―昨日の晩に作ったんですけれど、少し多めにこしらえすぎてしまって。もし失礼でなかったらの話なんですけど。良かったら、お裾分けとして召し上がって下さい。
普段なら、まず丁重に断っているはずなのに、つい頷いてしまったのは何も取り乱していたからばかりではない。
やはり、女に惹かれていたのと、もう一つは昨夜、幼なじみの順太郎が嬉しげに子ができたと話していたせいだったろう。常ならぬ淋しさがあったからだとは言えなくもない。