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第58章 《弐》

　お征は確か六つになると聞いた。人形のように愛らしく整った顔立ちは、美貌の母親譲りのものに相違ない。そのあまりのいじらしさに思わず抱きしめてやりたくなったが、そんなことをしては、お征がかえって愕き、怯えさせてしまうだろう。
　気の利いたことを言って慰めてやりたかったが、結局、維助が思いついたのは、たったのひと言だった。
「あいつらの言うことなんざァ、気にするな」