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第58章 《弐》

　たかが子ども同士のことと、安気に見てばかりはいられない。心ない言葉を投げつけられたお征の心は、どれだけ傷ついていることか。
　維助が見やると、案の定、お征は涙ぐんでいた。
「大丈夫か？」
　気遣わしげに訊ねると、お征は大きな黒い瞳(め)を潤ませて頷く。間近で見ると、眼許がおせんに瓜二つだ。流石は母娘だと妙に納得もし感心もした。