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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第58章 《弐》
「きれい」
 おせんが小さな声を上げ、簪に見入った。
「この簪、もしかして維助さんがお作りに?」
 問われ、維助は柄にもなく頬を上気させ、コクコクと頷く。
「おせんさんのために―い、いや、誰か使って貰える人がいねえかと思ってたら、丁度、おせんさんのことを思い出しちまってさ。ほら、何だろう、いつも美味しいだし巻きやら何やらご馳走になってるから、そのお礼に良いかなと思ったんだ」
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