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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第60章 《其の壱》
嗣道は源太夫の信頼も厚く、かれこれ十数年に渡り源太夫に事えている。既に隠居している嗣道の父嗣世もまた源太夫に長らく仕え、言うなれば、この新田家は父祖代々、槙野家に仕えてきた譜代の家柄であった。源太夫にとっては腹心ともいえる嗣道が弥子と結ばれたのは必然とは言えないまでも、自然ななりゆきといえよう。
継道の着替えが終わり、良人が居間でやや遅めの夕餉を取るのもいつものことだ。弥子や上の二人の娘たちは既に夕餉を済ませている。