この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第60章 《其の壱》
三歳の郁奈(かな)も、二歳倖奈(ゆきな)、それに生まれたばかりの末娘史奈(ふみな)もとうに布団に入って眠りに落ちている時間だ。
嗣道は弥子の問いには応えず、黙り込む。
まだ湯気の立つ茶碗を右手に持ったまま、難しい顔で宙を睨み据えた。
「何か大変なことでもございましたの?」
強面で武芸達者な嗣道は、あまり考え事は得意ではない。裏表がなく、朴訥な人柄は良くいえば誠実で真っ正直、その逆をいえば少々、短期直情、隠し事なぞ到底できない。
嗣道は弥子の問いには応えず、黙り込む。
まだ湯気の立つ茶碗を右手に持ったまま、難しい顔で宙を睨み据えた。
「何か大変なことでもございましたの?」
強面で武芸達者な嗣道は、あまり考え事は得意ではない。裏表がなく、朴訥な人柄は良くいえば誠実で真っ正直、その逆をいえば少々、短期直情、隠し事なぞ到底できない。