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第60章 《其の壱》

―殿は、こたびの出産は諦めよと仰せになられますが、私のこの身体では仮に次に身ごもったとしても、また諦めよと仰せになられるのは判っておりまする。それに、殿、この子は嫁いで六年目に授かった子、こたびを諦めれば、次にまた身ごもること叶うかどうかも判りませぬ。ならば、私は何としても、たとえ、我が生命に代えたとしても、この子を生みとうございます。