この作品は18歳未満閲覧禁止です
蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第60章 《其の壱》
弥子には三人の幼い娘たちがいる。長女の郁奈でさえ、まだ三歳になったばかりだ。貴美子から誕生する和子の乳母になるということは、つまり三人の子を置いて槙野の屋敷に上がるということになる。
生まれたばかりの乳飲み子の世話をするのだ。そう容易く自宅に戻ることは許されない。
果たして、己れにそれができるのか。三歳、二歳、そして生まれたばかりの赤児を置き去りにできるのか。恐らく、断腸の想いでなければ、できない所業だろう。