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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第60章 《其の壱》
 確かに、情理を備えた源太夫であれば、弥子が心情を訴えて、まだ幼い子らと離れ離れになりたくないのだと理由を話せば、許してはくれるだろう。
 だが、主命は絶対だ。
 主君の命を拒むことは、嗣道の前途にも障りがないとは言い切れない。それは、源太夫ほどの公正な人物だとて、一概に大丈夫だと断言できるものではなかった。それが当時の封建社会の不条理でもあり、怖ろしいところでもあった。
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