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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第60章 《其の壱》
弥子の耳奥に、貴美子の言葉がまざまざと甦る。それは、あたかも貴美子の言葉を己れが現実に聞いたようにありありと甦る。
弥子にとっても、貴美子は運命によって引き合わされたとも言うべき大切な人だった。良人嗣道とはまた違った意味で、生涯離れることのできぬ人だと思う。
貴美子に初めて逢ったのは、弥子が三歳になったばかりのことだ。それまではずっと実家で祖母に育てられていたのを、姫君の話し相手として、お屋敷に初めて上がったときのことである。
弥子にとっても、貴美子は運命によって引き合わされたとも言うべき大切な人だった。良人嗣道とはまた違った意味で、生涯離れることのできぬ人だと思う。
貴美子に初めて逢ったのは、弥子が三歳になったばかりのことだ。それまではずっと実家で祖母に育てられていたのを、姫君の話し相手として、お屋敷に初めて上がったときのことである。