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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第60章 《其の壱》
―そなたの気持ちは嬉しいし、ありがたい。私とて、そなたが今までどおり我が側にいてくれれば、いかほど心強いことか。さりながら、それでは、私がそなたの幸せを邪魔することになってしまう。弥子、そなたはもう十分、私に尽くしてくれた。本来ならば、私に付き従い江戸へなぞ来ずとも、京におれば良いのに、そなたは私と共にはるばる来てくれた。そのために、常磐井とそなたが親子離れ離れになってしもうたこと、私は心より申し訳なく思うておる。これ以上、我が身のためにそなたを犠牲にはできぬ。