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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第60章 《其の壱》
 これは悪い夢だ、そう、きっと悪しき夢に違いない。自分はまだ、夢を見ているのだ。
 これは、先刻の夢の続きに相違ない、と。
 自分に言い聞かせながら、侍医に導かれ、隣室へと脚を踏み入れる。
 褥に横たわる痩せ衰えた女人は、一体、誰だろう?
 その女人が震える手を差しのべてる。
 まるで救いを求めるように、死にたくないとこの世に縋り付くように。
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