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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第61章 《其の弐》
五日前の出来事が弥子の脳裡にまざまざと甦る。
あれは、産褥に横たわる貴美子とのやりとりであった。貴美子が嫁してきたときからずっと侍医を務めてきた初老の医者は、断固として言ったのだ。
―もっての外にございますぞ。それでなくとも、奥方さまにはご出産で過度のご負担がかかっておりまする。その御身で姫さまにお乳を差し上げるなぞとは、あまりに無茶がすぎるというもの。そのようなこと、断じてお許しするわけには参りませぬ。