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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第64章 十三夜の月 《壱》
 ここのところ、黄昏刻になると、いそいそと出かけてゆく良人である。しかも、そんな時、大抵はこざっぱりとした上物の着物を粋に着こなして出てゆく。その浮き足立った姿は誰がどう見ても女に逢いにいくとしか思えなかった。
 そんなことが殆ど毎日のように続いているのだ。美咲が幾ら良人を信じたくとも、最早信じられるような事態ではなかった。
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