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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第64章 十三夜の月 《壱》
 その日、良人の後をひそかに追跡した美咲は、良人が町外れの小さな仕舞屋に入ってゆくのを認めた。そして、そこで信じられぬ光景を見たのである。小さいながらも小綺麗に整えられた平家の回りにはぐるりと生け垣が巡らされていて、物陰に潜んでいても、家の内は垣間見ることができた。
 夏のこととて、障子戸をすべて開け放した先の濡れ縁に一組の男女が座っている。むろん、男の方は言わずと知れた良人壱之進であり、女はいかにも仇めいた色香の漂う二十六、七の美女であった。
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