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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第64章 十三夜の月 《壱》
良人の相手は深川の芸者だと聞いていたが、眼前の女は玄人にしては地味な落ち着いたつくりである。縹色(はなだいろ)の着物は町家の女にはいささか派手のようには見えるが、派手やかな美貌の女にはよく似合っていた。
壱之進に寄り添うようにして座る女の腕に大切そうに抱きかかえられているのは紛れもなく赤児であった。遠目からでは赤児が男の子なのか女の子なのかも判らないが、まだ生まれて日が浅いことくらいは、たとえ、子を生んだことのない美咲にだとても判った。
壱之進に寄り添うようにして座る女の腕に大切そうに抱きかかえられているのは紛れもなく赤児であった。遠目からでは赤児が男の子なのか女の子なのかも判らないが、まだ生まれて日が浅いことくらいは、たとえ、子を生んだことのない美咲にだとても判った。