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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第7章 《巻の弐》
 気心の知れた主従三人だけの部屋に、わずかな沈黙が落ちた。
 琢馬は、落ち着かぬげにせわしなく瞬きを繰り返した後、漸く話し始めた。
「実はでごさりまするな、こちらの殿が―」
「前口上なぞ、爺らしくもない、前置きは良から、さっさと申せ」
 泉水がせき立てると、琢馬はまた小皺の寄った細い眼をまたたかせた。
「実は、こちらの殿が江戸市中にお手つきの女子をひそかに囲っておられるとの専らの噂にござりまする」
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