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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第64章 十三夜の月 《壱》
 美咲は小さな村を通り抜け、山に分け入った。途中ですれ違った村人は、
―悪いことは言わねえ、今夜は一日村に泊まって、明日の朝、行きなせえ。
 と勧めてくれた。また、たとえ山に登ったとて、何があるわけでもないのだとも言った。
 まだ若い男であったが、いかにも純朴そうな百姓であった。
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