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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第7章 《巻の弐》
何の役にも立たぬ正室などより、殊勲のお腹さまとなった側室の方が大切に相違ない。
それは、漸く父親となり得た泰雅だとて同じ、いや、それ以上であろう。初めての子を腕に抱いた時、泰雅はどのような顔をしたのだろう。少し面映ゆいような、照れたような、込み上げてくる嬉しさを隠しきれぬ顔、危なげな手つきで不器用に生まれたての赤子を抱く泰雅、その傍らでまだ産褥にある女は誇らしげに微笑んでいる―。
見たこともない光景があたかも今、眼前で繰り広げられているかのように見える。
それは、漸く父親となり得た泰雅だとて同じ、いや、それ以上であろう。初めての子を腕に抱いた時、泰雅はどのような顔をしたのだろう。少し面映ゆいような、照れたような、込み上げてくる嬉しさを隠しきれぬ顔、危なげな手つきで不器用に生まれたての赤子を抱く泰雅、その傍らでまだ産褥にある女は誇らしげに微笑んでいる―。
見たこともない光景があたかも今、眼前で繰り広げられているかのように見える。