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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第9章 《巻の四》
「そのことについては、異存はございません。もし泰雅さまが私を離縁なさりたいと思し召しならば、私は潔く榊原の家を去りまする」
「愚か者めが!」
 源太夫が声を荒げ、一喝した。その顔は怒りで赤くなっている。父がこれほどに怒るのを、泉水は生まれて初めて見た。幼い頃からどんな悪戯をしでかしても、いつも穏やかに笑んでいた父であった。
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