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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第9章 《巻の四》
 あのときの泰雅の真剣さは、けして見せかけいっときのものではなかった。源太夫は勘定奉行を務めるまでは北町奉行を務めたこともある。その間、多くの人々を見てきた。白州で沙汰を下しても、本当にこれで良かったのかと後々まで悩んだこともある。
 罪を憎んで人を憎まずー、それが源太夫の信条ではあったけれど、現実としてはそんな綺麗事だけでは片づかないのが人の世であった。人と人が拘われば、好悪の感情が生まれ、利害関係が生じる。妬み、憎しみ、様々な負の感情が交差し、やがて殺しや盗みが起こる。
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