この作品は18歳未満閲覧禁止です
蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第9章 《巻の四》
が、今、この時、娘にそのような胸の内を話せるはずもなく、もしや、この想いはこれから先ずっと己れの胸にだけとどめておかねばならぬことなのやもしれなかった。
「泉水、泰雅どのともう一度、話し合うてみよ。取り返しのつかぬ仕儀になる前に、互いに腹の内を包み隠さず、じっくりと話し合うてみるが良い」
泉水が泰雅に惚れているのは明らかだ。
あの幼かったお転婆姫が生まれて初めての恋を知った。そう考えただけで、源太夫は感無量であった。