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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第9章 《巻の四》
「義父上はたいしたお方だ。政治家としてのみではなく、人間としての器も度量も大きく広い。あれほどのお方はなかなか出るまい。
到底俺なんか足許にも及ばぬほどの傑出したお方だな。あのような男を物心ついたときから間近で見て育ってきた泉水には、俺はさぞちっぽけで、つまらねえ男に見えるだろう」
 泰雅の口調には自嘲めいた響きがある。その言葉に、泉水は思わず叫んでいた。
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