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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第2章 巻の壱ー槇野のお転婆姫ー

泉水の今の暮らしは嫁ぐ前と何ら変わりない。大体、泉水は良人に甲斐甲斐しく仕え、素直に従う自分の姿を思い描くことができない。一日も早くお世継ぎを生むことだけを考え、ひたすら良人の愛を得ようと躍起になって日を送るのを考えただけで、ゾッとするのだ。男に愛され、その子を身ごもり、生み育てる―それが世の人が考える女の幸せというものであるらしい。時橋もまた泉水にそんな女の幸せを得て欲しいと切に望んでいる。だが、泉水はそんな暮らしに何の幸せがあるのか思う。

