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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第11章 《巻の壱―予期せぬ災難―》
「待って―」
 泉水は気力を振り絞って言った。
 このまま連れ去られるわけにはゆかない。泰雅に、泰雅にこのことを知らせなくては、私はここにいる、泉水はここにいると。
「話ができるのか?」
 泉水を運んでいるらしい男が訊ねてよこす。視界はぼやけて、自分を覗き込む男の貌さえ定かには見えない。
 泉水は小さく頷いて見せた。
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