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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第12章 《巻の弐―待ち人―》
何を思い出そうとしても、すぐに烈しい頭痛が起きてしまうのだ。医者の宗竹も誠吉も無理をする必要はないと言うけれど、泉水は一刻も早く失った記憶を取り戻したい。その想いは強まり、日々、焦りは募るばかりであった。
「俺は迷惑だなんて、ちっとも思ってやしねえよ。ただ、お前があんまり辛そうで、何もしてやれねえ自分がもどかしいんだ」
誠吉は立ち上がり、部屋の隅に行った。普段、仕事場にしている小机の引き出しを開けている。直に何かを手にして戻ってきた。
「俺は迷惑だなんて、ちっとも思ってやしねえよ。ただ、お前があんまり辛そうで、何もしてやれねえ自分がもどかしいんだ」
誠吉は立ち上がり、部屋の隅に行った。普段、仕事場にしている小机の引き出しを開けている。直に何かを手にして戻ってきた。