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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第15章 《巻の壱―幻―》
榊原家の家臣いわく〝殿は奥方さまにはお弱い〟のだ。ここでまた、強制的にお付きの者を連れてゆけとでも命じれば、泉水がヘソを曲げ、何をしでかすか―、万が一、勝手に町へ出て行くかもしれない。
何しろ、相手はあの〝お転婆姫〟だ。きれいな打掛や小袖を身に纏い、屋敷の奥深くで琴を弾いたりするような姫ではない。嫁ぐ前は庭で木刀を振り回し、庭の樹に登るのを日課としていた姫である。世の常識的な女性一般の枠では推し量ることができない。
何しろ、相手はあの〝お転婆姫〟だ。きれいな打掛や小袖を身に纏い、屋敷の奥深くで琴を弾いたりするような姫ではない。嫁ぐ前は庭で木刀を振り回し、庭の樹に登るのを日課としていた姫である。世の常識的な女性一般の枠では推し量ることができない。