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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第15章 《巻の壱―幻―》
泉水はかつて町の道場に繁く通い、一刀流の免許皆伝の腕を持つ。たとえ腕力では男に敵わずとも、剣さえあれば互角どころか、並の男など容易く打ち負かせる。泉水は泰雅の気遣いを心底嬉しく思った。
今日、泉水は町外れの随明寺に詣でた。随明寺は黄檗宗の名刹で、開基は浄徳大和尚である。浄徳は京都の宇治に万福寺を開いた高僧隠元隆琦の高弟の一人で、時の帝より紫衣・大師号を賜与されるという栄誉に恵まれたものの、丁重に辞退、市井で衆生と共に生きる道を選び一生を布教に捧げた。
今日、泉水は町外れの随明寺に詣でた。随明寺は黄檗宗の名刹で、開基は浄徳大和尚である。浄徳は京都の宇治に万福寺を開いた高僧隠元隆琦の高弟の一人で、時の帝より紫衣・大師号を賜与されるという栄誉に恵まれたものの、丁重に辞退、市井で衆生と共に生きる道を選び一生を布教に捧げた。