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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第16章 《巻の弐―花―》
 何事か思案に耽る様子の泉水を見て、時橋はまた、吐息を吐いた。泉水がいくらごまかそうとしても、このお傍去らずの乳母の眼をごまかすことはできない。
 ここ数日―、正確には数日前に女主人の身に何か起こったのは、どうやら明らかなようであった。いつも明るくて朗らかな泉水がすっかり塞ぎ込んでしまっている。泉水の態度に微妙な変化が現れたのは、数日前からである。
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