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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第16章 《巻の弐―花―》
 確かに、今年になって泉水はしばしばお忍びで外出するようになったが、約束どおり、事前に時橋に出かけると告げてから屋敷を出ている。少なくとも、今のところは以前のように泉水の姿が見当たらないと気付いたときには、もう屋敷内にはいなかった―ということだけはない。
 それはそれで良いのだが、やはり、泉水がたった一人で江戸市中を徘徊していると考えれば、時橋は心配でたまらない。
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