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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第16章 《巻の弐―花―》
―時橋は心配性じゃな。私はもう幼い童ではない。
 泉水はそう言って笑うのだけれど、それは泉水自身が己れの無鉄砲さを全く認識していないからだ。全く何をしでかすか判らない無謀さがこの姫には昔からあり、そんなところは幼い頃と少しも変わってはいない。
 数日前の外出中に泉水の身に何事か起きたのは間違いない―、時橋は確信めいた想いを抱いた。が、今ここで泉水にそのことについて深く追及してみても、泉水がけして口を開かぬであろうこともよく心得ている。
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