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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第16章 《巻の弐―花―》
 気が付けば、絵馬堂の前に佇んでいた。小さな朱塗りの鳥居をくぐり、百度石を辿った先に、こじんまりとしたお堂がひっそりと佇んでいる。あまたの人々の願いのこもった絵馬が格子状になった観音開きの扉に掛けられている。びっしりと絵馬が掛かっているせいで、扉の枠内の格子さえ見えないほどだ。
―とうとう、来てしまった。
 泉水はその場にぼんやりと立ち尽くしながら無意識の中に思った。
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