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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第17章 《巻の参―幻(げん)花(か)―》
むろん、泉水だって、だてに〝お転婆姫〟と呼ばれていたわけではなく、並の若い女なら泣き出してしまうような状況の中、楽々と塀を乗り越えた。屋敷を出る間際、般若に頼んで小袖と袴―いつものお忍びの姿だ―に着替えたゆえ、余計に動き易い。
ここに閉じ込められてからは、目隠しは外して貰えた。見たところ、小さなお堂の中のようだとも思うけれど、随明寺の絵馬堂ではない。絵馬堂よりはひと回りは大きくて、中央に小さな須彌壇(しゆみだん)がしつらえてあり、更に中央には小ぶりな阿弥陀像が安置されている。
ここに閉じ込められてからは、目隠しは外して貰えた。見たところ、小さなお堂の中のようだとも思うけれど、随明寺の絵馬堂ではない。絵馬堂よりはひと回りは大きくて、中央に小さな須彌壇(しゆみだん)がしつらえてあり、更に中央には小ぶりな阿弥陀像が安置されている。