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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第17章 《巻の参―幻(げん)花(か)―》
阿弥陀如来は、もがき、苦しみ、喘ぎながら、それでも懸命に生きてゆこうとする衆生の姿を捉える。その深いまなざしには、確かに、そんな人間たちに向けられた慈愛と憐れみが込められている。
一方、凄まじいまでの怒りをぶつけようとする般若のいかにも怖ろしげな両の眼(まなこ)にも哀しみは満ちている。烈しく怒りに燃え立つ眼(まなこ)の奥には、これほどまでに怒らなければならない我が身の運命(さだめ)への哀しみが潜んでいる。般若が抱(いだ)いている哀しみは、自らの背負った哀しき業に対するものに他ならない。
一方、凄まじいまでの怒りをぶつけようとする般若のいかにも怖ろしげな両の眼(まなこ)にも哀しみは満ちている。烈しく怒りに燃え立つ眼(まなこ)の奥には、これほどまでに怒らなければならない我が身の運命(さだめ)への哀しみが潜んでいる。般若が抱(いだ)いている哀しみは、自らの背負った哀しき業に対するものに他ならない。