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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第17章 《巻の参―幻(げん)花(か)―》
「本当に、そうだったのでしょうか。あなたは赤の他人で、ただ殺されそうになった赤子を哀れむだけゆえ、そのように簡単におっしゃる。ですが、その助けられた赤児が真に幸福であったのかどうか。この世に生まれたその瞬間から、実の親に要らないものと切り捨てられた口惜しさ、無念。何故、兄より先に生まれなかったのか、ほんのわずかの違いで後に生まれた私の運命は決まった。私は兄を、父や母をいかほど呪ったかしれませぬ」