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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第17章 《巻の参―幻(げん)花(か)―》
たったそれだけのために、ひとたび死んだはずの私はこの世に蘇ったのです。祐次郎と瓜二つのこの顔を利用してあなたを籠絡し、夢中にさせておいて、最後には捨て去るつもりでした。絶望したあなたをあの世にいる祐次郎が見たら、どう思うだろうか、そう考えただけで嬉しくなり、笑いが止まりませんでしたね。絶望したあなたがいっそのこと生命を絶ってくれでもしたら、なおのこと好都合だとさえ思いました。私の味わった絶望を、口惜しさを―、皆が味わえば良いのだと考えていました」