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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第17章 《巻の参―幻(げん)花(か)―》
御堂の外では、静かな雨の音が響いている。いつしか雷鳴は、すっかり止んでいた。
「すべては計算どおりに運びました。あなたは私が何者なのかと疑問に思い、その正体に少なからぬ興味を持った。その時点で、今回の計画の半分以上は成功したと思いました。ただ、たった一つだけ思いどおりにはいかなかったことがありました。それは、私があなたを愛してしまったことです。姫、私は叶うならば、陽の光の下を歩きたかった。兄は早くに亡くなりましたが、それでも私は兄が羨ましい。
「すべては計算どおりに運びました。あなたは私が何者なのかと疑問に思い、その正体に少なからぬ興味を持った。その時点で、今回の計画の半分以上は成功したと思いました。ただ、たった一つだけ思いどおりにはいかなかったことがありました。それは、私があなたを愛してしまったことです。姫、私は叶うならば、陽の光の下を歩きたかった。兄は早くに亡くなりましたが、それでも私は兄が羨ましい。