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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第19章 《其の壱―嵐―》
 だが、泉水の得体の知れぬ不安は意外なところで表面化することになった。泰雅が家宗公の見舞いを終え、下城の折、何者かに襲われたのである。その知らせを泉水はいつもより少し遅くなった朝餉の最中に受けた。
 いつものように時橋の給仕で食事を取っていると、家老の脇坂倉之助が色を失ってやって来たのだ。
「奥方さま、奥方さま、一大事にござりまする」
「どうした? もしや、上さまの御身に何かあったのか」
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