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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第19章 《其の壱―嵐―》
結局、そのときは泰雅にその気がないとのことで、沙汰止みにはなったが、いつまでもそのままで済むとは泉水も考えてはいない。
「私はけして、諦めてはおりませぬ。お方さまはまだ十八のお若さ、まだまだこれからではございませぬか。お世継ぎはいずれ、必ずやご誕生になられましょう。殿もお方さまお一人をおん大切に思し召されておいでであれば、脇坂どのの世迷い言なぞ何のお気になさることがありましょうや」
時橋は微笑んで泉水を見つめた。