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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第19章 《其の壱―嵐―》
 時橋は泉水の艶やかな髪をそっと指で梳いた。それは、幼い頃、ベソをかいて泣いた泉水を懐に抱いてなだめてくれた優しい乳母の想い出につながる。夜半、怖い夢を見て急に泣き出した泉水を、時橋はいつまでも腕に抱きしめていてくれた。あの時、真っ暗な闇の中でひたすら抱きしめてくれた腕がいかほど力強く思われたことか。
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