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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第19章 《其の壱―嵐―》

父槙野源太夫は勘定奉行の前は町奉行を務めていた。一人娘の泉水を気にかけてはいても、実質的には奉行としての日々のお勤めに忙しく、到底家庭を顧みられるような状況ではなかった。そんな中、五歳で母を失った泉水を育て、心の支えとなり続けたのは時橋だったのだ。
泉水が頷くと、時橋は静かに言った。
「尾張さまが次期将軍家の最有力候補と見なされておられることは、お方さまも既にご存じでございましょう?」
「その話なら私も存じておる」
泉水が頷くと、時橋は静かに言った。
「尾張さまが次期将軍家の最有力候補と見なされておられることは、お方さまも既にご存じでございましょう?」
「その話なら私も存じておる」

